そして父になる

主役や他のキャストについて


主人公は野々宮良多を演じた「福山雅治」さんをはじめ、妻役に「尾野真千子」さん、取り違えられてしまうお相手の夫婦役の斎木雄大は「リリー・フランキー」、妻役に「真木よう子」さんなどの、誰もが主演をはれるほどの実力派俳優・女優ばかりです。それぞれの心の心情を上手に描いていて、キャストのチョイスも納得できます。当時福山雅治さんといえば、プライベートが謎に包まれていた人物で、役といえども父親役を演じたことでも話題になりました。子役も演技派の子どもばかりです。

あらすじや見どころ


エリート建築家の主人公野々宮は、妻と一人息子と幸せな毎日を過ごしていました。そんなある日、息子の慶多が生まれた病院から「重要な話がある」と呼び出され子どもを取り違えられていたことが発覚します。取り違えられていた斎木家は小さな電気店を営んでおり病院の提案で交流を始め、お互いの家族が葛藤していきます。本当の幸せとは?家族のありかたを考えさせれる物語です。

主題歌のタイトルや歌手は?


そして父になるには主題歌というものがなく、ピアノ曲が主題歌となります。野々宮慶多がピアノを習っていたこともあり、映画の映像をより象徴的に彩ります。オリジナル楽曲や
ブルグミュラーの練習曲などが使われています。映画のエンディングでは「ゴールドベルク変奏曲」「アリア」などが使われ、音楽の歌詞がないことで映画の奥深さをより印象づけています。

ロケ地はどこ?


原作の舞台が群馬県だったこともあり、群馬県前橋市と埼玉県深谷市の両方で撮影されました。例えば真木よう子さんのパート先として使われたのは「ベイコック東部バイパス店」になりますし、映画の広告で使用されたのは埼玉県の「荒川河川敷」、野々宮家が住んでいるマンションは新宿にある「コンフォリア新宿イーストサイドタワー」、取り違えがおきた病院は「群馬中央病院」などなどさまざまな場所で撮影していることがわかります。また斎木家の営んでいた電気店&住居はTSUTAYA(つたや商店)が使われていて、映画のなかで実際にお風呂に入るシーンがあるのですがこの家のお風呂を使っていたというのですから驚きですね。出演者も豪華ですし一生の記念になりそうです。筒枝監督が前橋に足を運んだときに、このTSUTAYAの圧倒的な存在感を気に入り選んだとも言われています。昔ながらのセットでは出せないような味のある建物だと思いませんか。映画の雰囲気作りにとても大切な役割があるのがわかりますね。

原作はあるの?


そして父になつは原作などが存在しない、完全にオリジナル作品です。監督自身が身をもって実体験した娘が誕生してから多忙で一緒に時間が持てずにいたある日、1ヶ月ぶりに戻った自宅で娘から「また来てね」といわれてショックをうけた経験から「自分と娘をつなぐものは血か、時間かと考えその思いをもとに書いた作品だそうです。実際に子どもの取り違えば40年以上前におきており、綿密にリサーチしたものだと語っています。映画の上映に先駆けてノベライズ本は発売されてるので原作だと思っている人もいるかもしれません。

出演者について


福山雅治に尾野真千子、リリー・フランキー、真木よう子となれば演技力のレベルはいうまでもありません。特に堤枝監督の作品は物語が淡々と進んでいくので演技レベルが低いと映画の印象が一気に変わってしまいます。2013年5月に行われた第66回「カンヌ国際映画祭」で公式上映され、審査員賞を受賞しました。物語の重要な鍵をにぎる子役の存在ですが、野宮家は「二宮慶多」くんが演じており、大きな目が印象的な男の子です。半沢直樹の作品にも出演した経験があるなど、映画やテレビドラマ・CMなど多方面で活躍しています。そして父になるの前に2011年に発売された福山雅治さんの「家族になろうよ」にも出演していました。すごい偶然ですね。

斎木家の長男を演じたのは「黄升炫」くんです。中国人?と思う人もいるかもしれませんが、佐賀県出身で関西弁を話す日本人とのこと。出演作についてはわかりませんでしたが、この作品では子役に台本を渡さずにその場で好きに演じる演出にしていたこともあって、子役のリアルな姿を楽しめること、演技が自然なのも高評価でした。子役はセリフの数が少ない分、表情や仕草で心情を演出しなくてはいけないことも多く、作中には子どものもともとの口癖を採用した場所もあります。例えば斎木家の息子が野々宮家に来たときにルールを伝えられ「なんで、パパちゃうやん」と返し「なんで」を繰り返します。これはもともとの口癖をそのまま使ったのだとか。だからこそ自然な良さがあるんですね。

出演者の衣装


そして父になるの衣装担当はデザイナーの「黒澤和子」さんです。黒澤明さんの妹でもあり情熱的な方で有名です。

家族の生き方や価値観・生活レベルなどのイメージを細かくイメージして差別化しています。

座頭市や武士の一分などの衣装も担当しています。野々宮家はきれいめなシンプルなファッションですが、斎木家は個性的なファッションで全く違った印象を上手に引き出していますね。

ラストや映画全体の考察・解釈


子どもの取り違えというセンセーショナルな内容に対して、家族の気持ちの葛藤を感じます。

エリート一家としてお金には全く不自由していない野々宮家ですが、子どもの世話は任せっきりで子どもとどう接していいのか戸惑う子ども、それに反して貧乏ながらもいつも家族の笑顔が絶えずかかあ天下で家族をまとめる斎木家。真逆の家庭を通して本当の家族を見つけていきます。

物語の最後に子どもを迎えにいくシーンで福山雅治演じる良多が慶多と撮ったたくさんの写真を見直し、いかに父親として子どもを愛していたのかを実感し「離れたくない」という自分の気持ちに気付きます。

本来の家族とは血の繋がりではなく一緒に過ごした時間や思い出であることを実感するのです。

最後に「パパなんかパパじゃない」という息子に対して、「6年間はパパだったんだよ。出来損ないだったけど、パパだったんだよ」といって抱きしめるシーンは涙なくしてみられません。

家族の大切さを考えさせてくれる名シーンです。

監督は誰で、他にどんな作品を作っているか


是枝監督は日本の映画監督でもあり脚本家です。2004年に第57回カンヌ国際映画祭で「最年少受賞で柳楽優弥さんを一躍有名にした「誰も知らない」や、第71回カンヌ国際映画祭で最高賞のパルム・ドールを受賞した「万引き家族」などとにかく有名な作品を次々に作り出していきます。

他にも「空気人形」「奇跡」「海街ダイアリー」「三度目の殺人」などの是枝監督作品です。その時代の問題に対して積極的に作品にしているので、考えさせられる作品ばかりです。

作品のスタンスとして、成瀬巳喜男から強く影響を受けており記憶と想像と観察力のバランスを重視していること、誰かを悪者として描くことをしないというスタンスを貫いています。

もともとテレビのドキュメンタリーディレクターだった時代もあるので、監督になってからも企画・脚本・監督・編集などの全てを自分で行う独自のスタイルを貫いています。

そして父になるは家族について考えさせされる作品です。血のつながりがなくても一緒に過ごした時間が家族を作っていく、向き合うことの大切さも考えさせられます。2つの家族が見せる本当の家族の在り方とは…。